IBLAC開幕目前——世界の英知が集い、開かれた上海に立ち会う

japanese.shanghai.gov.cn| 2025-10-11

(動画・上海国際サービス)

上海市市長国際企業家諮問会議(IBLAC、以下、上海諮問会議)が1989年に創設された上海市と世界の企業家がハイレベルな対話を行うプラットフォームです。毎年秋に開催されており、世界中からの企業家が集い、科学技術イノベーション、開放と協力などのテーマをめぐり、上海の発展に向けた提言を行います。第37回上海諮問会議が明日に開幕します。現在上海諮問会議のメンバーは46名に達し、そのうち40名の世界的な経営者が今年、上海を訪れ、会議に出席することを確定しています。

上海諮問会議顧問であり、アーンスト・アンド・ヤング(EY)アジア太平洋地域HRビジネスパートナーの黄文氏は、「多国籍企業の選択には風向計のような意味があります。これは、中国市場に対する認識が徐々に本来の経済的ロジック、つまり市場の潜在力、ビジネス環境、サプライチェーンの完備性などに基づく見方へと回帰していることを示しています」と語ります。上海諮問会議は上海が世界から学ぶ機会であると同時に、世界が中国を理解する契機ともなります。

規模の拡大だけではない

上海諮問会議の規模が拡大しても、その価値は薄れていません。データによれば、現在の46社のメンバー企業のうち、24社が2025年版フォーチュン・グローバル500社に、7社がフォーブス・グローバル2000社に名を連ねています。これらの企業の時価総額は3.5兆ドルを超え、上海での納税総額は350億元(約4.9億ドル)を超えます。

設立当初の上海諮問会議のメンバーは8ヶ国12名であったが、現在では15ヶ国46名へと拡大し、その範囲はアジア、ヨーロッパ、南北アメリカに及んでいます。参加企業には、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスといった先進国に加え、タイ、シンガポール、韓国といった新興市場からの企業も含まれています。産業分布も、当初の製造業や鉱業から、半導体、バイオ医薬、環境保護、金融監査、生態環境といった分野へと拡大しています。これは、上海が30年以上にわたって歩んできた発展の軌跡、つまり、伝統的な工業・商業都市から、「経済・金融・貿易・港運・科技革新」の5つの国際的センター、そして世界的影響力を持つ社会主義現代化の国際的な大都市の建設をしていることが反映されています。

上海諮問会議の議長であり、ロシュ・グループ取締役会長のクリストフ・フランツ氏は、多国籍企業が上海を重視する原因について、「上海は常に開放的な姿勢で各方面からの声に耳を傾け、多面的な協力を促進してきました」と語りました。1994年、ロシュは浦東地区に進出した最初の多国籍製薬企業となりました。30年以上をかけて、同社は中国全土での産業チェーンを継続的に構築・拡充・改善し、中国の患者たちの革新的治療への需要に応えてきました。

名誉市民の称号を授与されたばかりの「新上海人」である彼は、「上海のイノベーションへの揺るぎないコミットメントは、やがて繁栄をもたらすでしょう」と上海を評価し、また、「まず、上海は人材・資金・サービス・データ・インフラを結び付けた完備されたイノベーション・エコシステムを構築し、大学、スタートアップ、国内外の企業を惹きつけています。そして、上海には優れた政府と企業の対話関係があり、これは高度に規制されるライフサイエンス産業にとって極めて重要です」と述べました。

今年、ロシュ製薬中国は、上海に20億4000万元を投じて、新たなバイオ医薬品生産拠点を建設する計画を発表しました。こうした動きは、例外ではなく、昨年の上海諮問会議開催以降、すでに13社のメンバー企業が上海で新たな投資を計画しており、その総額は300億元を超えています。これらの世界的な企業はいずれも、今後も中国市場への投資を拡大し、事業展開をさらに強化していく意向を明らかにしています。

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過去の会期中、上海博物館東館を見学する企業家(撮影・張馳/解放日報)

ルールの革新にとどまらない

今年7月、スイスに滞在していたクリストフ・フランツ氏は、オンライン会議で、「上海諮問会議の運営ルールを改革・革新し、多国籍企業の経営者と上海市指導部との交流時間を増やすことはできないか」と提案しました。

上海はすぐにその提案を取り入れました。今年の上海諮問会議では、午後の「非公開分科会セッション」が3グループから4グループに増やされ、各グループの国際企業家の人数は約10名に調整されました。これにより、中国側と外国側の交流がより充実しし、実質的なものになることが期待されています。今年設定されたテーマは、「テクノロジーによるプラス効果」「戦略的優位性」「開放のフロンティア」「グリーンの実践」という4つです。メンバーは自らの関心や企業の方向性に応じて、事前に参加グループを選べる仕組みとなっています。また、上海市の各政府部門、地元企業、大学、シンクタンクの代表も参加し、意見交換を行う予定です。

ABBグループのビョルン・ロセングレン最高経営責任者(CEO)は「テクノロジーによるプラス効果」を選びました。彼は、「私たちの使命と事業は、上海が構築を目指すグローバル・イノベーション・ネットワークのハブという目標と高度に一致しています。特にデジタル経済、AI、スマート製造、グリーントランスフォーメーションといった重要分野において、当社の革新的技術、深い専門知識、幅広いパートナーシップを活かすことで、中国の各産業が一層の高みを目指すことを後押しできます」と述べました。

一方、「開放のフロンティア」グループの座長を務めるアボット社のロバート・フォード会長兼CEOは「今年の上海諮問会議を通じて、上海の皆さんと医療イノベーションの無限の可能性を探っていきたいと考えています。地域・文化・分野を超えた深い交流と協力を継続的に展開することで、イノベーションの境界を突破し、業界全体のオープンな発展を促したいと思います」と語りました。

率直な意見交換は上海諮問会議の特徴の1つです。中には、「上海市長に内緒話がしたいから」と、中国地区社長を一時的に会場から退席させた外国人経営者もいたといいます。会議への出席者は「市の指導者たちが次々と質問し、国際企業家たちは率直に答えていました。話題は、上海のビジネス環境、ネガティブリストの短縮、慎重な規制の実施など、多岐に及んでいました」と振り返りました。中には冗談を交えて「こんなに鋭く突っ込んでしまって、来年も招待してもらえるんでしょうか」と言った起業家もいました。しかし、その討論が終わるや否や、すぐに来年の参加グループにチェックを入れていたといいます。

非公開セッションで率直に意見を交わす一方で、多くの世界のCEOたちが公の場でメディアの取材に応じるようにもなってきました。彼らは、上海の発展への自信や中国市場での実感を世界に向けて発信しています。今では、上海諮問会議のメンバーになれるかどうかが、その企業のグローバルな発展レベルを測る「物差し」になりつつあると、多くの企業関係者が感じているといいます。そして、上海諮問会議への参加は、世界のトップ経営者たちが1年前からスケジュールに組み込む重要行事になっています。

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2024年9月22日、第36回上海市市長国際企業家諮問会議(写真・夏淼/上海国際サービス)

世界から学ぶだけではない

上海諮問会議の元主席であり、S4キャピタル創業者兼取締役会長のマーティン・ソレル氏は、上海のAI産業に強い関心を寄せ、「広告業界に革新をもたらすAI系のスタートアップに投資したい」と語りました。彼にとって嬉しいことに、今年の会議関連イベントでは、企業家たちが徐匯濱江西岸のドームアートセンターを訪れ、傅利叶、黒湖、聯影医療など8社の革新的製品を間近に体験することができることです。

関係者によれば、「皆さん大変興味を持たれており、ほぼ全てのメンバーが参加を申し込まれました。上海における最先端分野の最新の成果を知りたいという強い気持ちが感じられます」とのことです。

かつては世界から学ぶことに主眼が置かれていた上海諮問会議ですが、現在では相互に学び合う知の対話の場へと静かに進化しています。多くの企業家たちは、「上海のグリーントランスフォーメーション、デジタル化建設、都市の精緻なガバナンスの実践は、海外にとって学ぶに値するものだ」と語ります。ここには市場があり、実証の場があり、技術があります。まさに上海との協力のための確かな基盤が整っています。

上海諮問会議メンバーであり、ベカルト社取締役会長のジャン・ピエール・クラメル氏は「私たちの中国での30年以上の歩みが証明しているのは、深い協力こそが真の互恵と共栄をもたらす唯一のものだということです」と述べました。そして、「相互に繋がる現代において、成功の鍵は効率的なチームワークと、共に歩み、卓越を分かち合う理念にあるのです」と強調しました。

専門家の分析によれば、設立36年を迎えた上海諮問会議は、今後さらに「国際的ハイレベル・シンクタンク機能」を高め、世界のビジネス界におけるメンバーの高度なネットワーク力と資源連携力を発揮して、上海および長江デルタ地域の発展により先見的な政策提言を行うべきとのことです。また、「国際発信機能」を強化し、メンバーが国際産業界で持つ発言力を活かして、「真の上海」の姿を世界に発信するとともに、より多くの国際的な有名企業の上海投資を引き寄せ、「5つのセンター」建設を後押しする役割を果たすことが期待されています。

さらに、都市ガバナンスが世界共通の課題となっている現在、上海諮問会議は世界に対してより多くの公共的知見を提供する条件を備えていると指摘されています。毎年の会議で、講演者は先見的な見解を示し、企業家は実行可能な提案を行います。それらは、世界共通の都市問題の解決を促す上で大きな意義を持つものであり、今後、上海諮問会議は未来都市研究の拠点となるポテンシャルを有しています。

上海諮問会議副議長であり、シュナイダーエレクトリック取締役会長のジャン=パスカル・トリコワ氏は、「上海は、グローバル企業の重要な研究開発の拠点であるだけでなく、灯台工場(インダストリー4.0の模範工場)を含む強固なサプライチェーンの基盤を持ち、さらに企業自身のグリーントランスフォーメーションとデジタル変革の実践モデルでもあります」と語ります。彼は、新旧の友人たちと再会し、AI時代の技術革新とグリーン発展を議論し、先見的な思考を実際の発展の原動力に変えたいと述べています。

出典:解放日報

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